— 03 / 5 · 飲食

Aesop's

ギリシャ料理のソーシャルダイニング

セクター飲食
サービスブランドアイデンティティ · ロゴデザイン · パターンシステム · アートディレクション
役割ブランドアイデンティティ · ロゴデザイン · アートディレクション
Aesop's — Greek Social Dining — Hero image
— 01 / 概要

バンコクに持ち込まれた、ギリシャの家庭料理。

Aesop's は、バンコクにあるギリシャ料理の〈ソーシャル・ダイニング〉です。料理はみんなで分け合うためにあり、テーブルが満席になるほど場は盛り上がります。

この店は、オーナーの祖母から始まりました。祖母はギリシャ人で、オーナーはギリシャから遠く離れた土地で、その手料理を食べて育ちました。バンコクに移り住んでみると、街にはギリシャ料理がほとんどありません。だからこそ、その味を取り戻すために Aesop's を開いたのです。

店はその〈社交〉の側面を前面に出しています。料理はみんなが手を伸ばせるようテーブルの中央に置かれ、食事には独自の儀式があります。OPA! と叫び、皿を床に投げて割るのです。ブランドはこの物語の両面を抱えなければなりませんでした。家族のなかで静かに受け継がれてきたレシピと、それを囲んで沸き立つ満席のテーブルの賑わい、その両方を。

Aesop's — Greek Social Dining — Detail 01
Aesop's — Greek Social Dining — Detail 02
— 02 / 戦略

ブランドは、すでに家族のなかにあった。

ブリーフには、すでにひとつの方向性がありました。オーナーは、ギリシャでおなじみの〈イーブルアイ(邪視よけのお守り)〉をブランドの顔にしたいと考えていたのです。たしかに見ればすぐにわかります。けれど、それはどの街のどのギリシャ料理店の看板にも収まってしまう。〈ギリシャ〉だとは言っていても、〈Aesop's〉だとは言っていませんでした。

より強い答えは、すでに物語のなかにありました。レシピはすべて祖母から来ています。祖母はブランドの参考資料ではなく、店が存在する理由そのものでした。だから取り組んだのは、借りものの記号のまわりにではなく、祖母を中心にアイデンティティを組み立てること。料理の源を、そのまま店の顔にすることでした。

これは創作ではなく、解釈です。店がもともと持っていたもの以外、何も付け足していません。店名も同じ考えにのっています。Aesop's は、語り継がれる物語の語り手イソップにちなんでいます。レシピが代々受け継がれてきた厨房に、よく似合う名前です。

Aesop's — Greek Social Dining — Wide
— 03 / 実行

一本の線で描かれた、ひとつの顔。

マークは、一本の途切れない線で描かれています。実在する誰かの肖像ではなく、ギリシャ女性の〈典型〉として描くことで、ひとつの顔に縛られることなく祖母を表しています。細部は地中海から取りました。額を横切る波は、祖母が渡ってきた海。顔を囲む幾重もの線は、水の波紋のようでもあり、テーブルに寄り集まる人々のようでもあります。

ロゴタイプには、角ばった手描きのギリシャ風文字を使い、その下のタグラインはやわらかな手書きで添えました。硬い文字に対して、人の温度を残すためです。同じ考え方は、ブランドの言葉づかいにも流れています。店のホストは Owner でも Manager でもなく、Master of Ceremonies(進行役)と呼ばれます。一晩の営業を、こなすべきシフトではなく、もてなしの場として捉える呼び名です。

Aesop's — Greek Social Dining — Artwork outline
Aesop's — Greek Social Dining — Colour system
Aesop's — Greek Social Dining — Guideline 01
Aesop's — Greek Social Dining — Guideline 02
— 04 / ビジュアルシステム

ナプキンから壁まで、同じひとつの顔。

システム全体は、二色で動いています。深いエーゲブルーと、白。神殿の柱やオリーブの枝に頼らなくても、この二色だけで〈ギリシャ〉はおおよそ伝わります。残りは、あの顔が引き受けます。曲線へと分解すると、それはナプキンや紙もの、タイルの上を走る反復パターンになります。

マークは、大きさが変わってもくずれません。名刺の上では隅に小さくおさまり、建物では壁の高さいっぱいに描かれて、通りから店を見つけやすくします。色と線はどこでも変わらないので、ナプキンの上でも、店先の壁いっぱいでも、現れるのは同じひとつの顔です。

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